捨てられない贈答品どうする?「好き」「必要」で見直す無理しない片付け術
子供たちが独立し、ご自身の時間が少し増えたことで、長年そのままになっていたお住まいのモノを見直したいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、いただきもの、いわゆる「贈答品」は、箱に入ったままだったり、一度使ったきり仕舞い込んでしまったりと、意外と場所を取っていることが多いのではないでしょうか。そして、それらを片付けようと思ったとき、「これは〇〇さんからいただいたものだし…」と、どうしても手が止まってしまいがちです。
このサイトでは、片付けを「好き」なモノと「必要」なモノに分けて考えることを提案しています。それは贈答品についても同じです。今回は、溜まりがちな贈答品を、気持ちの負担を減らしながら無理なく整理する方法を、「好き」と「必要」という視点からご紹介します。
なぜ贈答品は片付けにくいのでしょうか
贈答品が片付けにくい最大の理由は、モノ自体だけでなく、「贈ってくださった方への感謝の気持ち」や「いただいた時の思い出」といった感情が伴うからです。
- 感謝の気持ち: せっかくいただいたのに使わないのは失礼ではないか、という思い。
- 思い出: 誰から、どんなお祝いの時にいただいたかなど、その時の記憶が結びついている。
- 「いつか使うかも」: 来客用、特別な日用など、使用機会が限定されるモノの場合、いつか必要になるかもしれないという考え。
- 高価なモノ: 値段が高かったモノだと、使わないまま手放すことに抵抗を感じやすい。
これらの気持ちがあると、たとえ使う機会が全くなくても、簡単に手放すという選択ができなくなってしまいます。
「好き」と「必要」で贈答品を見直す
さて、そこで立ち戻りたいのが、「好き」と「必要」という基準です。贈答品を片付ける際にも、この二つの視点は非常に役立ちます。
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「好き」で残す贈答品:
- デザインや色がとても気に入っている
- 見ているだけで気分が上がる
- 飾っておきたい美しいモノ
- 使うたびに豊かな気持ちになるモノ
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「必要」で残す贈答品:
- 日常生活で頻繁に使っている(食器、タオルなど)
- これから使う予定がある(ストック品など)
- 非常時にあると役立つモノ(防災グッズなど)
- 特定の用途で必須なモノ(来客用の座布団、季節の飾りなど)
贈答品の場合、ここに「贈ってくれた方への感謝」という要素が加わりますが、大切なのは「感謝の気持ち」と「モノそのもの」を分けて考えることです。感謝の気持ちは、たとえモノを手放しても心の中に大切に残しておくことができます。
贈答品の「好き」「必要」判断 具体的なステップ
溜まった贈答品を片付けるための具体的なステップをご紹介します。一度に全部やろうとせず、引き出し一つ、棚一段など、無理のない範囲から始めてみましょう。
- 集める: 片付けたい場所にある贈答品と思われるモノを、一旦すべて取り出してみます。難しければ、写真だけ撮ってリスト化するのも良いでしょう。
- 仮分類する: 取り出したモノを、次の4つのグループに分けてみましょう。
- A. 好き: とても気に入っていて、これからも使いたい、飾りたいモノ
- B. 必要: 日常生活で必要、またはこれから確実に使う予定があるモノ
- C. どちらでもない/迷う: 使う機会はないけれど捨てるのは気が引けるモノ、判断に迷うモノ
- D. 明らかに使わない/好きではない: 箱から出してもいない、破損している、自分の趣味ではない、今後も使う予定が全くないモノ
- 判断と処置:
- A(好き)とB(必要): これらは残すモノです。使う場所にすぐにアクセスできるよう収納場所を決めましょう。飾るモノは飾りたい場所に。
- D(明らかに使わない/好きではない): 思い切って手放すことを検討します。感謝の気持ちを心の中で伝えてから、リサイクル、寄付、フリマアプリでの売却などを検討しましょう。使わないモノを家に置いておくより、必要としている人に使ってもらう方が、モノも喜ぶかもしれません。
- C(どちらでもない/迷う): ここが一番難しいかもしれません。
- 保留期間を設ける: 一つの箱にまとめて日付を書き、「〇ヶ月後にもう一度見直す」と決めます。期間を過ぎても使わなければ手放す、と決めるのも一つの方法です。
- 使い道を考えてみる: 本来の用途でなくても、別の使い方ができないか考えてみます。例えば、小皿をアクセサリートレイに使うなど。具体的な使い道が思い浮かばなければ、保留箱へ。
- 写真を撮る: モノそのものは手放しても、写真を撮ってデータとして残すことで、思い出だけを残すことができます。特に、箱入りのままのタオルや洗剤などは、写真を撮って中身を確認し、モノ自体は消耗品として使ったり、譲ったりすることを検討できます。
捨てられない贈答品との向き合い方
贈答品の中には、モノそのものよりも「贈ってくれた方への思い」が強い場合があります。そんなモノと向き合うためのヒントです。
- 感謝は心の中に: 大切なのは、贈ってくださった方の「あなたの喜ぶ顔が見たい」「お祝いしたい」というお気持ちです。その感謝の気持ちは、モノを手放しても消えることはありません。むしろ、使われずに眠っているより、必要な人に使ってもらう方が、贈ってくれた方の気持ちにも沿うかもしれません。
- モノの役割を考える: モノには、使われることでその価値を発揮するという役割があります。使われないまま仕舞い込まれているモノは、その役割を果たせていません。それを手放して、本当に使うモノ、好きなモノだけを残すことで、家全体のモノが活き活きとする、と考えることもできます。
- 手放す選択肢を広げる: 「捨てる」だけが選択肢ではありません。
- 家族や友人に譲る: 「これ使わない?」と気軽に声をかけてみる。
- 寄付をする: NPO法人や自治体によっては、まだ使えるモノの寄付を受け付けている場合があります。
- リサイクルショップやフリマアプリを利用する: 状態が良ければ、次に必要とする人の手に渡ります。
- フリマアプリ(メルカリ、ラクマなど):個人間でモノを売買できるスマートフォンのアプリ。
- 少しずつ慣れていく: 一度にたくさんの贈答品と向き合うのは疲れるものです。まずは「これなら手放せるかも」と思えるモノから、少しずつ手放す練習をしてみましょう。
無理なく片付けを進めるためのコツ
体力的な負担を減らし、無理なく続けるためには、以下のコツを意識してみてください。
- 小さな範囲から: 「今日はこの引き出しだけ」「この棚のこの部分だけ」と、片付ける範囲を小さく区切ります。
- 時間を決める: 「15分だけ」「30分だけ」と時間を決めて取り組みます。時間になったら途中でも終了します。
- 座ってできる場所から: テーブルの上や、座って作業できる押し入れの下段など、無理のない姿勢でできる場所から始めましょう。
- 完璧を目指さない: 一度で全部片付かなくても大丈夫です。大切なのは、少しでも前に進むことです。
- 休憩をしっかり取る: 疲れたら無理せず休憩しましょう。
片付け後のすっきりした空間活用例
贈答品を見直してスペースが生まれると、家の中が風通し良くなるのを感じられるはずです。空いたスペースをどのように活用できるか、いくつかの例をご紹介します。
- 本当に「好き」なモノを飾るスペースに: これまで贈答品に占領されていた場所に、ご自身が心から「好き」な絵や小物を飾るスペースを設ける。
- 趣味の道具を置き場所に: 使いたいときにすぐに取り出せるよう、趣味関連のモノをまとめるスペースにする。
- ゆとりのある収納に: モノが減ることで、一つ一つのモノが取り出しやすくなり、収納全体の使い勝手が向上します。
- 何も置かない贅沢: スペースがあること自体が心地よさにつながります。何も置かずにすっきりさせることで、視覚的な情報が減り、リラックスできる空間になります。
まとめ
長年溜まった贈答品の片付けは、モノと向き合うだけでなく、ご自身の心とも向き合う作業です。「好き」か「必要」かという基準で冷静に判断しつつも、感謝の気持ちは大切に心に残しましょう。一度に完璧を目指す必要はありません。小さなステップで、ご自身のペースで無理なく進めることが大切です。
贈答品を整理することで生まれたスペースと心のゆとりは、きっと今後の暮らしをより快適で豊かなものにしてくれるはずです。