増えがちな趣味の道具・材料を片付ける:「好き」「必要」で見つける整理術
趣味の道具や材料、なぜか増えていませんか
手芸やガーデニング、料理、写真など、何か一つの趣味に打ち込んでいると、自然と道具や材料が増えていくものです。新しいキットや珍しい材料、便利なツールなど、ついつい揃えたくなってしまいます。しかし、気がつけば置き場所に困るほど溜まってしまい、いざ使おうと思っても見つからない、といった経験はないでしょうか。
特に、忙しさで趣味が中断したり、別の趣味に興味が移ったりすると、使わなくなった道具や材料がそのままになってしまいがちです。長年積み重ねられたモノを見ると、どこから手をつければ良いか分からず、片付けをためらってしまうかもしれません。
このコラムでは、そんな増えがちな趣味の道具や材料を、「好き」と「必要」という視点から見直して整理する方法をご紹介します。完璧を目指すのではなく、ご自身のペースで無理なく進めるためのヒントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
片付けの第一歩:「好き」と「必要」でモノを見分ける
趣味の道具や材料の片付けで最も大切なのは、「自分が何を本当に大切にしたいか」と向き合うことです。ここで役立つのが、サイトのコンセプトである「好き」と「必要」でモノを見分ける考え方です。
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「好き」なモノ:
- 見るだけで心が弾む、ワクワクする
- そのモノ自体に愛着がある、美しいと感じる
- その趣味を始めた頃の思い出が詰まっている
- 完成した作品や、制作過程で大切にしていた材料など
- (例:初めて自分で買ったお気に入りの編み針、特別にデザインされた生地のハギレ、大切に育てていた植物の手入れ道具)
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「必要」なモノ:
- 現在進行形で取り組んでいる趣味に必ず使う道具や材料
- すぐに必要になる可能性が高い消耗品や予備
- 趣味を続ける上で欠かせない機能を持つモノ
- (例:今作っている作品に必要な毛糸、頻繁に使うハサミやカッター、次に植え替えが必要な鉢)
この二つの視点を持って、目の前のモノ一つ一つに問いかけてみましょう。「これは持っているだけで心が満たされる『好き』なモノだろうか?」「それとも、今の趣味活動に欠かせない『必要』なモノだろうか?」
具体的な判断基準を設ける
「好き」か「必要」かを判断する際に、少し迷うモノも出てくるでしょう。そんな時は、いくつかの具体的な基準を設けると判断しやすくなります。
- 最後に使ったのはいつですか?
- 「最後に使ったのが1年以上前」など、期間を決めてみましょう。明確な使用予定がないモノは、「好き」の要素がなければ手放すことを検討できます。
- これから使う予定は具体的にありますか?
- 「いつか使うかも」ではなく、「○月頃にこの材料を使って△△を作る予定」のように、具体的な計画があるか考えてみましょう。計画がない場合は、一旦保留にするか、手放す候補に入れます。
- 同じようなモノを複数持っていませんか?
- 特に材料(毛糸、布、塗料など)や基本的な道具(ハサミ、筆)は、気がつくと増えていることがあります。本当に必要な量だけを残し、他は見直しましょう。
- もし手放したら、本当に困りますか?
- 代用できるモノがあるか、改めて買い直すことは可能か、考えてみましょう。簡単に手に入るモノであれば、手放すハードルは下がります。
これらの基準はあくまで目安です。一番大切なのは、ご自身の気持ちと向き合うことです。どうしても判断できないモノは、無理に決めず「保留ボックス」などを用意して一時的に分けておいても良いでしょう。期間を決めて(例:半年後)再度見直すようにします。
無理なく進める片付けステップ
長年溜め込んだ趣味のモノを一度にすべて片付けようとすると、体力も気力も消耗してしまいます。少しずつ、ご自身のペースで進めることが成功の秘訣です。
- 小さな範囲を決める:
- 「趣味の道具が入った引き出し一つ」「材料をしまっているボックス一つ」「棚のこの一段だけ」など、ごく狭い範囲から始めましょう。達成感を得やすく、負担も少なく済みます。
- 制限時間を設ける:
- 「今日は15分だけ」や「このボックスだけ終わらせる」のように、時間や量を決めて取り組みます。集中力も保ちやすく、毎日少しずつでも進めることができます。
- 「全出し」は必須ではない:
- よく片付けの手順で「全出し」が推奨されますが、モノが多い場合や体力に不安がある場合は、無理に行う必要はありません。範囲を決めて、その中のモノだけを取り出して仕分ける方法でも十分効果があります。
- 仕分け作業:
- 決めた範囲のモノを、先ほどの「好き」「必要」「手放す(または保留)」の3つの山に分けていきます。それぞれの山に分かりやすくラベルを貼った箱や場所に分けましょう。
- 手放すモノへの向き合い方:
- 使わないけれど高価だったモノ、中断した趣味の道具、たくさん余っている材料など、手放すことに罪悪感を感じることもあるでしょう。
- 思い出の品: 完成した作品や、制作中の写真、特別な材料などは、すべてを残すのではなく、お気に入りの一点だけを残す、写真に撮ってデータとして保存するなど、形を変えて残す方法を検討しましょう。手紙や記録なども、特に大切な部分だけを保管するという手があります。
- まだ使えるモノ: 捨てるのではなく、フリマアプリやインターネットオークションで売る(「フリマアプリ」とは、個人間で商品を売買できるスマートフォンのアプリのことです)、地域のバザーに出す、友人に譲る、寄付するなど、誰かに活かしてもらう方法を探すのも良いでしょう。
- 感謝の気持ち: 「ありがとう、楽しませてくれて」と心の中で伝え、感謝の気持ちで手放すことも大切です。
片付け後の収納と続けるコツ
モノが整理できたら、使いやすく、見ていて気持ちの良い収納を考えましょう。
- 「好き」なモノは飾って楽しむ: お気に入りの作品や、美しい道具、珍しい材料などは、飾る収納(例:オープンシェルフ、ガラスケース)を取り入れて、いつでも眺められるようにするとモチベーション維持にもつながります。
- 「必要」なモノは使う場所の近くに: よく使う道具や材料は、趣味の作業スペースの近くに収納します。収納ボックスや仕切り(「収納ボックス」とは、モノを整理して入れるための箱、「仕切り」とは、引き出しの中などを区切る板やケースのことです)を活用して、種類ごとに分類しておくと、探しやすくなります。
- 定位置を決める: 整理したモノそれぞれの「家」を決めましょう。使ったら元の場所に戻す習慣をつけることで、散らかりを防ぐことができます。
- 無理なく維持する: 片付いた状態を完璧に保つのは難しいものです。週に一度、月に一度など、短い時間でも良いので片付け直しの時間を設ける「ルーティン」(定期的に行う決まった手順)を作るのがおすすめです。
- 「一つ増えたら一つ減らす」を意識: 新しい道具や材料を購入する前に、今持っているモノを見直す、あるいは一つ手放すことを意識すると、モノが増えすぎるのを防げます。
片付けがもたらす心地よい空間
趣味の道具や材料がすっきりと片付くと、物理的なスペースが生まれるだけでなく、心にもゆとりが生まれます。
- 趣味に集中できる: 必要なモノがすぐに取り出せるようになり、探す手間が省け、すぐに趣味に取り掛かることができます。
- 新しい発見がある: 埋もれていた材料や道具が見つかり、「そういえば、こんなものがあったな」と、中断していた趣味を再開したり、新しいアイデアが生まれたりすることもあります。
- 空間を有効活用できる: 空いたスペースを、趣味の作業台にしたり、くつろぐための場所にしたりと、より快適に過ごせるように活用できます。
- 心地よさを感じる: 片付いた空間は、見た目にもすっきりして気持ちが良いものです。心穏やかに、ご自身の時間を楽しむことができるでしょう。
まとめ
増えがちな趣味の道具や材料の片付けは、時間と根気が必要な作業かもしれません。しかし、「好き」と「必要」というシンプルな基準でモノを見分け、ご自身のペースで一歩ずつ進めることで、きっと整理は進みます。
すべてのモノを完璧に整理する必要はありません。まずは小さな場所から始め、片付いた心地よさを実感してみてください。その達成感が、次のステップへの力になるはずです。すっきりとした空間で、大好きな趣味に心ゆくまで打ち込める、そんな心地よい時間が増えることを願っています。