押し入れ・クローゼット 片付けはじめの一歩:『好き』も『必要』も大切にする方法
お子様が独立され、ご自宅の空間を見直す良い機会だと感じていらっしゃる方も多いかと存じます。特に、押し入れやクローゼットは、思い出の品や「いつか使うかも」と取っておいたモノが自然と集まりやすい場所かもしれません。いざ片付けようと思っても、どこから手をつければ良いか分からなかったり、モノの量に圧倒されてしまうこともあるでしょう。
一度に完璧に片付けようと考えると、どうしても億劫になってしまいがちです。体力的な負担も気になります。しかし、ご自身のペースで、少しずつ進めることから始めることは十分に可能です。この機会に、押し入れやクローゼットを、ご自身にとって心地よく、使いやすいスペースに変えていくための一歩を踏み出してみませんか。
なぜ押し入れ・クローゼットにはモノが溜まりやすいのでしょうか
押し入れやクローゼットは、扉を閉めてしまえば中の様子が見えないため、ついモノを詰め込んでしまいがちな空間です。「とりあえずここにしまっておこう」という仮置きが、いつの間にか定位置になってしまったり、季節外れのモノや冠婚葬祭で使うモノなどが収納されるうちに、日常的に使うモノとの境界が曖昧になってしまったりします。
特に、お子様の成長と共に増えた学用品や作品、ご自身の若い頃の趣味のモノ、旅行の思い出の品など、一つ一つにエピソードがあるモノは、「もったいない」「捨てられない」という気持ちになりやすく、手放す判断を難しくさせます。
片付けの「はじめの一歩」を踏み出す考え方
押し入れやクローゼットの片付けを始めるにあたり、大切なのは「一度にすべてを終わらせようとしない」ことです。まずは、片付ける範囲を小さく区切り、「ここだけならできそう」と思える場所から着手します。例えば、押し入れの一番上の段だけ、クローゼットの引き出し一つだけ、といった具合です。
そして、片付けたい場所のモノをすべて外に出してみましょう。これは現状を把握するために非常に重要なステップです。モノの総量を目の当たりにすることで、片付けへの意識が高まります。
「好き」なモノと「必要」なモノを区別する基準
モノをすべて外に出したら、次はそれらを「好き」「必要」「保留」「手放す」の四つに分類していきます。ここでサイトのコンセプトである「好き」と「必要」の考え方が役立ちます。
- 「好き」なモノ: 見るだけで気分が上がる、持っているだけで幸せな気持ちになる、といった感情的な価値を持つモノです。無理に数を減らす必要はありませんが、収納スペースとの兼ね合いも考慮します。
- 「必要」なモノ: 今現在使っている、あるいは使う予定がある、生活に欠かせない実用的なモノです。
- 「保留」のモノ: すぐに判断できないモノ、迷うモノです。後でまとめて見直す時間を作ります。
- 「手放す」のモノ: 明らかに使わない、傷んでいる、同じようなモノが複数ある、といったモノです。
判断に迷う場合は、以下の基準を参考にしてみてください。
- 使用頻度: この一年間に使ったか?今後一年間に使う予定はあるか?
- 状態: 傷みや汚れはないか?修理が必要か?
- 代替: 他のモノで代用できるか?同じようなモノを他に持っていないか?
- 感情: 持っていることでどのような気持ちになるか?(特に「好き」の判断において)
押し入れやクローゼットの場合、季節モノや時々しか使わないモノが多いかもしれません。それらは「必要」なモノとして分類しつつも、収納場所に工夫が必要になります。
捨てにくいモノとの向き合い方:特に思い出の品
押し入れやクローゼットには、アルバム、手紙、お子様の作品、記念品など、思い出の品が多く眠っていることがあります。これらのモノは、物理的な価値以上に感情的な価値が高く、手放すことに強い抵抗を感じやすいでしょう。
思い出の品は、他のモノとは分けて考え、無理に一度にすべてを判断しようとしないことが大切です。以下のような方法を試してみてはいかがでしょうか。
- 「思い出ボックス」を作る: 一時的に思い出の品だけを集めておくボックスを用意します。すぐに判断できないモノはここへ入れ、後日改めて見直す時間を作ります。
- 「残す」方法の多様化: すべてを物理的に手元に置く必要はありません。
- 写真に撮る: 作品などかさばるモノは、写真に撮って記録を残すだけでも十分な場合があります。
- デジタル化: 手紙や写真などはスキャンしてデータ化するのも一つの方法です。
- 一部だけ残す: 大量の作品の中から、特に印象的なものや、保管しやすいサイズのものを数点だけ厳選して残します。
- 感謝の気持ちを伝える: 手放すモノに対して、これまでありがとう、という感謝の気持ちを持つことで、心穏やかに送り出すことができます。
- 期限付きの「保留」: どうしても手放せないモノは、「一年間だけこのボックスに入れておき、一年後に改めて見直す」というように、一時的に保管期間を設けることも有効です。
無理なく、ご自身のペースで続けるコツ
片付けは一度で終わるものではありません。ご自身の体力や時間に合わせて、無理なく続けるための工夫を取り入れましょう。
- 時間を区切る: 「今日は15分だけ」「引き出し一つだけ」のように、短時間で終わる目標を設定します。短い時間でも毎日続けることで、着実にモノは減っていきます。
- 場所を固定する: 「毎週土曜日の午前中に30分」のように、片付けをする曜日や時間を固定すると習慣化しやすくなります。
- 小さな成功を記録する: 片付けた場所や減らしたモノの量を簡単にメモするなど、達成感を「見える化」するとモチベーションにつながります。
- 休憩を挟む: 疲れたら無理せず休憩しましょう。お好きなお茶を飲んだり、軽くストレッチをしたりするのも良いでしょう。
- 完璧を目指さない: 少しくらい元に戻ってしまっても大丈夫です。またできる時に片付け直せば良い、と気楽に考えましょう。
片付け後のスペース活用アイデア
押し入れやクローゼットが片付くと、驚くほど広々としたスペースが現れます。この新しい空間をどのように活用するか考えるのも楽しい時間です。
- 季節モノ以外の収納: お客様用の寝具や、オフシーズンの家電、災害備蓄品など、普段は使わないけれど必要なモノを整理して収納できます。
- 趣味の空間: もし十分なスペースができたら、小さな作業台を置いたり、趣味の道具を使いやすく収納したりして、ご自身の趣味に没頭できるスペースを作ることも可能です。
- 本や書類の整理: 片付いたスペースを活用して、長年整理できていなかった本や書類の収納場所にするのも良いでしょう。
- 「ゆとり」の空間: 何も置かずにあえて空間を空けておくことも、心のゆとりにつながります。モノの出し入れが楽になり、管理もしやすくなります。
まとめ
押し入れやクローゼットの片付けは、これまでの生活を振り返り、これからの暮らしを考える良い機会です。「好き」なモノに囲まれ、「必要」なモノがすぐに取り出せる、心地よい空間は、日々の暮らしをより豊かにしてくれます。
一度に完璧を目指す必要はありません。まずは「はじめの一歩」として、小さな場所から、ご自身のペースで片付けを始めてみてください。「好き」も「必要」も大切にしながら、一つ一つのモノと丁寧に向き合うことで、きっと心地よい空間と、晴れやかな気持ちが手に入るはずです。