キッチンや洗面所などの『立つ場所』 片付け術:「好き」「必要」で見直す無理しない方法
立ったまま作業する場所の片付け、つい億劫になっていませんか?
日々の暮らしの中で、キッチンでの料理や洗い物、洗面所での身支度など、立ったまま作業する時間は意外と長いものです。こうした場所は、毎日使うモノが多く、気づかないうちにモノが増えたり、収納が乱れたりしやすい場所でもあります。
特に「長年使っているけれど、なんとなくそのままになっているモノ」や「どこに何をしまったか分からない状態」になってしまうと、片付けを始めるのがつい億劫になってしまうこともあるかもしれません。体力的な負担を考えると、一度に大掛かりな片付けをするのは難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この場所別「好き」「必要」ガイドでは、キッチンや洗面所のような「立つ場所」の片付けを、無理なく、少しずつ進めるための考え方や具体的なステップをご紹介します。大切なのは、「好き」で残すモノと「必要」で残すモノを明確にし、ご自身のペースで心地よい空間を取り戻していくことです。
なぜ「立つ場所」の片付けは負担になりやすいのでしょうか?
キッチンや洗面所は、生活の中心であり、使用頻度の高いモノが集まる場所です。そのため、片付けようと思っても、次のような理由で負担に感じやすい側面があります。
- 立ったままでの作業が多い: 体力的な負担がかかりやすく、長時間続けるのが難しい場合があります。
- モノの種類が多い: 調理器具、食器、洗剤、化粧品、タオルなど、多岐にわたるモノがあり、分類が複雑になりがちです。
- 小さなモノが多い: 引き出しの中など、細かいモノが多く、整理に時間がかかることがあります。
- 湿気や汚れが気になる: 水回りであるため、掃除と片付けを同時に行う必要があり、作業量が増える場合があります。
このような特性を踏まえて、無理なく、着実に片付けを進めるためのアプローチが必要です。
「好き」と「必要」で見直す片付けの基本
どのような場所の片付けでも共通する大切な考え方が、「好き」なモノと「必要」なモノを区別することです。
- 「必要」なモノ: 日常的に使っているモノ、生活に欠かせないモノです。使用頻度や機能性を基準に判断します。
- 「好き」なモノ: 使っていなくても、見ているだけで心が満たされたり、元気になったりする、感情的な価値を持つモノです。
この二つの基準でモノを分類することで、「なんとなく持っているモノ」や「いつか使うかも」といった曖昧なモノの要不要を判断しやすくなります。特に立つ場所にあるモノは「必要」な実用品が多い傾向にありますが、お気に入りのキッチンツールや、使うたびに気分が上がる洗面用品など、「好き」の要素を持つモノもあるはずです。
キッチンでの「好き」「必要」片付け実践:小さなステップで
キッチンはモノが多く、手をつける場所を迷いがちです。まずは、小さな範囲から始めてみましょう。
- 片付けたい小さなエリアを決める: 「引き出し一段」「コンロ下の棚一段」「シンク下の扉一つ」など、無理なく始められる範囲を選びます。一度に全体をやろうとしないことが大切です。
- モノをすべて取り出す: 選んだエリアに入っているモノをすべて取り出します。何が入っているかを把握する第一歩です。床にシートなどを敷いて作業すると汚れを防げます。
- 「好き」「必要」「手放す」に分類する: 取り出したモノを、「好き(残したい)」「必要(残したい)」「手放す(感謝して手放す)」の三つのグループに分けます。
- 「必要」の基準:この一年で使ったか? 今後一年で使う予定があるか? それがないと困るか?
- 「好き」の基準:使うかどうかにかかわらず、見るだけで気分が上がるか? 思い出深い品か?
- 迷うモノ:「保留」の箱を一つ作り、一時的にそこへ入れます。すぐに判断できないモノで悩んで立ち止まらないようにします。
- 手放すモノを決める: 「手放す」と判断したモノは、すぐに箱などに入れ、後でまとめて処分できるよう準備します。
- 残すモノを「定位置」に戻す: 「好き」「必要」と判断したモノを、選んだエリアに戻します。この時、使う頻度が高いモノは手前に、低いモノは奥に収納するなど、使いやすさを意識して配置します。このエリアを今後どのように使いたいかを考えながら戻すと良いでしょう。
- 次の小さなエリアへ: 一つのエリアが終わったら、達成感を味わい、休憩を挟んでから次のエリアに取り掛かるか、別の日に回すか決めます。無理は禁物です。
無理なく進めるヒント:
- タイマーを使う: 「この引き出しは15分だけ」のように時間を区切ると、集中して取り組め、疲れすぎるのを防げます。
- 「ながら」片付け: お湯を沸かす間、電子レンジで加熱している間など、短い待ち時間を活用して、目の前のモノを一つ二つ分類するだけでも効果があります。
- 座ってできる作業は座る: 引き出しの中のモノを分類する際など、床や椅子に座って作業すると、足腰の負担を減らせます。
洗面所での「好き」「必要」片付け実践:清潔と心地よさを両立
洗面所もキッチンと同様、立つ時間の長い場所ですが、こちらは身支度や洗濯、掃除など、用途が多岐にわたるのが特徴です。
- 小さなエリアを決める: 「洗面台の引き出し」「鏡裏の棚一段」「洗濯機横の収納ボックス」など、無理なく手をつける範囲を選びます。
- モノをすべて取り出す: 選んだエリアのモノをすべて取り出します。化粧品、洗剤、掃除道具、タオルなど、種類ごとに分類しながら出すと、何がどれくらいあるか把握しやすいです。
- 「好き」「必要」「手放す」に分類する: 取り出したモノを、キッチンと同様の基準で分類します。
- 「必要」の基準:毎日使うモノか? 半年以内に使ったか? ストックは適量か? (古い化粧品や試供品などもチェック)
- 「好き」の基準:使うたびに心が満たされるような、お気に入りのスキンケア用品やタオルなど。
- 迷うモノ:「保留」箱へ。
- 手放すモノを決める: 不要なモノは処分します。期限切れの薬や化粧品がないかも確認しましょう。
- 残すモノを「定位置」に戻す: 残すモノを使いやすいように収納します。洗面所は湿気がこもりやすいので、通気性も意識できると良いでしょう。同じ種類のモノはまとめて収納すると分かりやすくなります。
- 次の小さなエリアへ: 焦らず、次のエリアに進むのは体調と相談しながら決めます。
無理なく進めるヒント:
- 使用頻度でグループ分け: 毎日使うモノ、週に数回使うモノ、たまに使うモノ、ストックなど、使う頻度でグループ分けし、それぞれを取り出しやすい場所に収納します。
- 「使うモノ」を優先: 「いつか使うかも」よりも「今使っているモノ」を優先して手元に置くようにすると、スッキリします。
- ながら片付け: 洗濯機が回っている間、お風呂のお湯をためている間などに、鏡裏の棚一段だけ、など決めて片付けると負担になりません。
体を休めながらできる片付けも取り入れる
立つ場所の片付けは体力を使いますが、片付けの中には座ってできる作業もあります。例えば、溜まった書類の整理や、思い出の品の分類などです。もし立つ場所の片付けで疲れてしまったら、無理せず座ってできる別の片付けに切り替えるのも良い方法です。場所を限定せず、片付けという行為全体を「できる時に、できる形で」進めるという柔軟な考え方が、継続につながります。
無理なく片付けを続けるためのヒント
- 完璧を目指さない: 一度にすべてを終わらせようと思わないことです。今日は引き出し一段、明日は棚一つ、というように、小さな目標を立ててクリアしていくことが大切です。
- 休憩をこまめにとる: 特に立ったままの作業は、疲れを感じる前に短い休憩を挟むことで、無理なく続けられます。
- 片付けた場所を「キープ」する: 一度片付けた場所は、使ったら元に戻す「定位置」ルールを意識するだけで、散らかりにくくなります。
- ご褒美を用意する: 小さな目標を達成したら、好きなお茶を飲む、好きな音楽を聴くなど、自分へのご褒美を用意するとモチベーションを維持できます。
- 変化を楽しむ: 片付けた場所がすっきりしていく様子や、使い勝手が良くなったことを実感することで、片付けが苦ではなくなります。
片付けで生まれた空間がもたらすもの
キッチンや洗面所が片付くと、見た目がすっきりするだけでなく、様々なメリットがあります。
- 家事効率が上がる: モノの定位置が決まることで、探し物の時間が減り、料理や身支度がスムーズになります。
- 清潔を保ちやすい: モノが少ないと、掃除がしやすくなり、衛生的な状態を保てます。
- 心が落ち着く: 乱雑な状態は無意識のうちにストレスを与えますが、整った空間は心に安らぎを与えてくれます。
- 新しい発見がある: 忘れ去っていたモノが見つかり、再び活用できるようになることもあります。
片付けは、単にモノを整理するだけでなく、日々の暮らしを快適にし、心にゆとりを生み出すための大切なステップです。
ご自身のペースで、少しずつ始めてみましょう
キッチンや洗面所などの「立つ場所」の片付けは、体力的に感じる負担から、つい後回しにしてしまいがちです。しかし、「好き」と「必要」というシンプルな基準でモノを見直し、無理のない小さなステップで進めることで、着実に片付けを進めることができます。
大切なのは、「完璧にやらなくてはいけない」というプレッシャーを感じず、ご自身の体調やペースに合わせて取り組むことです。今日できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。きっと、片付いた場所が、日々の暮らしに小さな喜びをもたらしてくれるはずです。