押し入れ・クローゼットの奥から始める無理しない片付け:「好き」と「必要」で見つける大切なモノ
押し入れやクローゼットの奥、開けていますか?
ご自宅の押し入れやクローゼットの奥に、何がしまってあるか、すべて覚えていますか?
長年開けていない場所の奥には、かつてはよく使っていたけれど今は存在すら忘れてしまったモノや、手放すきっかけをなくしてしまい込んだモノ、大切な思い出の品などが眠っていることがあります。
こうした場所を片付けたいと思っても、一度に全部を整理するのは大変だと感じ、つい後回しにしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。特に、体力的に一度に大掛かりな作業をするのが難しいと感じている方にとっては、どこから手をつけて良いか悩ましいものです。
そこで提案したいのが、「押し入れやクローゼットの奥」から少しずつ始める片付け方です。奥に焦点を当てることで、無理なく範囲を区切り、忘れられていたモノと向き合う良い機会になります。そして、そのモノたちが本当に「好き」なモノなのか、「必要」なモノなのかを見極めることで、すっきりとした空間を取り戻す第一歩を踏み出せます。
なぜ「奥」から始めるのが効果的なのか
片付けは手前から始めるもの、と思われがちですが、あえて「奥」から始めることにはいくつかのメリットがあります。
まず、奥にしまわれているモノは、現在あまり使われていない、あるいは存在を忘れられている可能性が高いものです。こうしたモノを出すことから始めることで、現実として「どれくらい使っていないモノがあるのか」を把握しやすくなります。
次に、奥のモノを手前に出す作業は、比較的少ない範囲で集中して行えます。一度に押し入れやクローゼット全体のモノをすべて出すのは大変な労力が要りますが、奥に限定すれば、体力的な負担を減らしながら取り組むことができます。
さらに、奥から出てきたモノは、良くも悪くも「懐かしい」と感じるものが多くあります。思い出の品や、過去の自分が大切にしていたモノと向き合うことで、片付けのきっかけやモチベーションにつながることもあります。
「奥から少しずつ」という方法は、一度に完璧を目指すのではなく、「今日はこの奥の一角だけ」というように、無理なく続けられるペースを作りやすいのです。
奥のモノを出すための準備
片付けを始める前に、いくつか準備をしておきましょう。
必要なのは、モノを一時的に置くためのスペース、分けるための箱(またはレジ袋など)、ホコリを拭き取るための雑巾、そしてゴミ袋です。
作業時間は、まずは15分や30分といった短時間から始めてみるのがおすすめです。「奥のこの棚の、一番奥のモノだけ」というように、具体的に片付ける範囲を決めておくと、集中しやすく、終わりの目途も立てやすくなります。タイマーを使うのも良い方法です。
実践ステップ:奥のモノを出して「分ける」
準備ができたら、いよいよ押し入れやクローゼットの奥に眠るモノたちと向き合います。
- 手前のモノを一時的にどかす: 奥のモノにアクセスしやすいように、手前にあるモノを一時的に移動させます。
- 奥のモノをすべて出す: 決めた範囲の奥にあるモノを、残らず全て外に出します。予想していなかったモノが出てくるかもしれません。
- ホコリを拭き取る: モノを出した後の棚や床は、長年のホコリが溜まっていることが多いので、丁寧に拭き取りましょう。
- 出したモノを「分ける」: 出てきたモノを、次の4つのグループに分けます。
- 好き: 見るだけで心が和む、大切な思い出がある、飾っておきたいと感じるモノ。
- 必要: これから使う予定がある、生活に欠かせない、ないと困るモノ。
- 迷う: 「いつか使うかも」「捨てるのはもったいない」と判断に迷うモノ。
- 手放す: 壊れている、汚れている、今後使う見込みがない、不要になったモノ。
「好き」と「必要」で見極める:奥のモノの判断基準
奥から出てきたモノには、普段目にしない分、判断に迷うものが多いかもしれません。「好き」と「必要」で分ける際のヒントをご紹介します。
- 季節モノ(衣類、家電、雑貨): 来年も使う予定があるか。「必要」グループへ。傷みがひどい、サイズが合わなくなった、デザインが好みでなくなったものは「手放す」を検討。来年も「好き」で着たい、飾りたいと思えるものは「好き」グループでも良いでしょう。
- 思い出の品(アルバム、手紙、子供の作品など): これらはまさに「好き」グループの代表です。ただし、すべてを残すのが難しい場合は、特に思い入れの深いものを選んだり、写真に撮る、デジタル化するなど、形を変えて残す方法も考えられます。
- 贈答品や「いつか使うかも」のモノ: 頂いたけれど使っていないモノ、何かに使えると思ってとってあるモノは、一度立ち止まって考えましょう。「好き」でもなく、具体的な「必要」もない場合が多いかもしれません。本当に「必要」になる場面が来るのか、他のモノで代用できないかなどを検討し、「手放す」も視野に入れます。ただし、無理にすぐに手放す必要はありません。
- 古い趣味の道具やコレクション: 今でも「好き」で、今後も楽しむ可能性があるなら「好き」グループへ。しかし、もう何年も触れていない、見ることもない場合は、「手放す」を検討するか、「迷う」グループに入れて一旦保留します。
判断に迷う場合は、「1年間使わなかったモノは手放す」といったルールを決めるのも一つの方法ですが、無理にルールに縛られすぎず、ご自身の気持ちと向き合うことを大切にしてください。特に思い出の品は、すぐに手放すのが難しい場合が多いものです。
「迷う」「手放す」モノへの向き合い方
「迷う」グループに入ったモノは、すぐに結論を出さなくても構いません。別の箱にまとめて「保留ボックス」とし、箱に日付を書いておきましょう。例えば半年や1年後にその箱を見返してみて、一度も見なかった、使わなかったモノは手放す、という方法です。
「手放す」と決めたモノは、ゴミとして処分する以外にも、リサイクル、寄付、フリマアプリや専門業者への売却など、様々な方法があります。モノの状態や種類に合わせて、適切な方法を選びましょう。
思い出の品で手放すのが難しいものは、無理に手放す必要はありません。しかし、収納スペースに限界がある場合は、残すモノを厳選したり、写真データとして残すなどの方法を検討することも、心の整理につながります。大切なのは、モノを通して過去と向き合い、今の自分が何を大切にしたいかを考えることです。
無理なく続けるためのコツ
押し入れやクローゼットの奥の片付けは、根気が要る作業です。疲れたり、モノと向き合うのが辛くなったりしたら、無理せず休憩しましょう。あるいは、その日の作業は中断して、また日を改めて取り組んでください。
完璧に一気に終わらせようとせず、「今日は奥の棚一段だけ」「奥のこのエリアだけ」というように、小さな目標を設定することが大切です。目標を達成するたびに、達成感を得ることができ、次の作業へのモチベーションにつながります。
また、一人で抱え込まず、ご家族に手伝ってもらったり、話を聞いてもらったりするのも良いかもしれません。誰かと一緒に作業することで、客観的な視点からモノの要不要についてアドバイスをもらえることもあります。
片付けた奥のスペース活用と心のゆとり
押し入れやクローゼットの奥が片付くと、空いたスペースが生まれます。このスペースをどのように活用するか考えるのも楽しみの一つです。
例えば、普段あまり使わないけれど大切な季節用品や、場所をとるけれど手放したくない思い出の品などを、きれいに整理して置く場所にすることができます。奥まで手が届きやすいように、キャスター付きの収納グッズなどを活用するのも良いアイデアです。
奥まできれいに整理されていると、気持ちもすっきりします。隠れた場所が整っているという安心感は、日々の暮らしに穏やかな心のゆとりをもたらしてくれるでしょう。
小さな一歩から始めてみませんか
押し入れやクローゼットの奥の片付けは、長年溜め込んだモノと向き合い、「好き」と「必要」を見つめ直す作業です。最初は億劫に感じるかもしれませんが、「奥のこの一角だけ」という小さな一歩から始めてみてください。
無理なく、ご自身のペースで進めることが大切です。片付けを通じて、過去の自分を振り返りながら、今の自分が本当に大切にしたいモノ、そしてこれからの暮らしに必要なモノを見つける旅を楽しんでください。
片付いた空間は、きっとあなたの暮らしに新たな広がりと心地よさをもたらしてくれるはずです。