長年眠っていた和室を片付け:「好き」「必要」でモノを見直す無理しない方法
長年眠る和室、どうにかしたいと思っていませんか
ご自宅に、以前は客間として使っていたけれど、今はほとんど使われず、ついモノを置いてしまうようになった和室はありませんか。子供部屋として使っていた和室が、独立を機にそのままになっているという方もいらっしゃるかもしれません。
「いつか片付けよう」「何をどうしたらいいのか分からない」そう思っているうちに、長年使わないモノや思い出の品が集まってしまい、気づけば開かずの間になってしまったというお悩みはよく聞かれます。
和室は広い空間があるため、ついついモノの一時置き場になりがちです。特に押し入れは奥行きがあり、たくさんのモノを収納できる一方で、奥に入れたモノは忘れ去られ、気づけば長年しまったままということになりやすい場所です。
しかし、和室が片付き、すっきりとした空間を取り戻せたら、きっと暮らしはもっと快適になります。ここでは、「好き」なモノと「必要」なモノを基準に、長年眠っていた和室のモノを整理し、無理なく片付けを進める方法をご紹介します。
なぜ和室にモノが溜まりやすいのか
和室にモノが集まりやすいのには、いくつか理由があります。
まず、リビングなどに比べて日常的に使われる機会が減ると、「とりあえずここに置いておこう」という考えになりやすい点が挙げられます。特に客間として使わなくなった和室は、その傾向が顕著になります。
また、和室の収納スペースである押し入れは、奥行きが深く、容量が大きいことが特徴です。たくさんのモノが入る安心感から、使わないけれど捨てられないモノや、いつか使うかもしれないモノをついしまい込んでしまいます。
さらに、和室には季節の飾り物、客用布団、贈答品、昔の趣味の道具、子供が使っていたモノなど、様々な種類のモノが集まりがちです。これらのモノは、一つひとつに思い入れがあったり、量が多かったりするため、まとめて片付けるのが大変だと感じてしまい、さらに手付かずの状態が長引いてしまうのです。
「好き」と「必要」で和室のモノを見直す基準
和室の片付けで大切なのは、そこに集まった様々なモノを「好き」か「必要」かという基準で見直していくことです。この基準で仕分けることで、要不要の判断がしやすくなります。
「好き」なモノ
- 見て心が和むモノ、気分が上がるモノ
- 大切な思い出が詰まったモノ
- 眺めているだけで楽しい、収集しているモノ
例えば、旅行先で集めた小物、昔の写真を収めたアルバム、大切にしている骨董品や飾り物などがこれにあたります。和室に飾ることで、心が安らぐ空間になるモノです。ただし、「好き」なモノでも量が多すぎる場合は、一部を残す、飾る場所を決めるなどの工夫が必要です。
「必要」なモノ
- 実際に使う機会があるモノ(年に数回でも)
- 家族の誰かにとって必要なモノ
- 保管が義務付けられている書類など
和室に関連するモノとしては、客用布団、季節の飾り物(ひな人形、五月人形など)、冠婚葬祭用の衣類や小物、シーズンオフの家電、保管が必要な書類などが考えられます。これらのモノは、使用頻度は低くても、いざという時に必要になるものです。
要注意なモノ:「好き」でもなく「必要」でもないモノ
片付けが進まない原因の多くは、この「好き」でもなく「必要」でもないモノです。「いつか使うかも」「もらい物だから」「なんとなく」といった理由で手元に置かれているモノが、和室に溜まっている可能性が高いです。これらを「手放すモノ」として見分けることが、片付けの大きな一歩となります。
和室の場所別「好き」「必要」片付け実践ガイド
和室の片付けは、場所ごとに区切って少しずつ進めるのがおすすめです。一度に全部やろうとせず、体力と相談しながら無理のない範囲で行いましょう。
1. 押し入れの片付け:奥行きを味方につける
押し入れは最もモノが詰まっている可能性が高い場所です。上下段、天袋、地袋など、エリアを区切って取り組んでください。
- 一段ずつ引き出す: 押し入れの段や引き出し一段など、小さな単位でモノをすべて外に出してみましょう。何が入っているか「見える化」することが大切です。
- 「好き」「必要」「手放す」で分類: 出したモノを、先に決めた基準で三つのグループに分けます。客用布団は「必要」、昔の子供の工作は「好き」(または思い出)、もらったけれど使わないタオルセットは「手放す」など。
- 「手放す」モノを決める: 「好き」でも「必要」でもないモノは、手放す候補です。ゴミとして出す、リサイクルに出す、寄付するなど、処分方法を考えます。
- 「好き」「必要」なモノを収納: 残すと決めたモノは、使用頻度や種類で分けて収納します。
- 客用布団: 圧縮袋を使うとコンパクトになり、省スペースになります。使用頻度の低い天袋などに。
- 季節の飾り物: 湿気や虫に注意して、購入時の箱や専用ケースに入れて保管します。地袋や押し入れ下段など、出し入れしやすい場所も考慮。
- 衣類: オフシーズンの衣類などは、衣装ケースや引き出しに入れて積み重ねると、押し入れの奥行きを有効活用できます。(キャスター付きの収納ケースは、奥のモノも取り出しやすく便利です)
- 思い出の品: アルバムや手紙などは、専用のボックスにまとめ、「思い出ボックス」として保管場所を決めます。
2. 部屋全体のモノ:床や棚の上を整理
押し入れ以外の、床に直置きされているモノや、飾り棚、床の間のモノなども整理します。
- エリアを狭く区切る: 「この畳一畳分」「この棚一段」など、小さな範囲に絞って取り掛かります。
- すべて集めて分類: そのエリアにあるモノをすべて集め、「好き」「必要」「手放す」に分けます。
- 飾るモノを決める: 「好き」で残すモノの中から、和室に飾りたいモノを選びます。飾るスペースを考え、量を調整しましょう。
- 収納場所を決める: 「必要」なモノや「好き」だけど飾らないモノは、押し入れや別の場所へ収納します。一時的に他の部屋へ移動させる場合は、「仮置き」と明確にし、期間を決めておくと、他の場所が散らかるのを防げます。(一時的に段ボール箱などにまとめて「和室片付け中」などと書いておくと良いでしょう)
3. 座ってできる片付け:体力の負担を減らす
和室は畳の上で作業ができるため、座って無理なく進めるのに適しています。
- 引き出し一段、ボックス一つから: 押し入れの引き出し一つ、棚の上のボックス一つなど、小さな範囲から始めます。
- モノを広げすぎない: 一度にたくさんのモノを広げると、かえって途中で疲れてしまいます。作業する範囲を限定し、広げすぎないように注意します。
- 分類作業を座って行う: 出したモノを畳の上に広げ、座ったまま「好き」「必要」「手放す」のラベルを貼った箱や袋に分けていきます。立ったままの作業より体への負担が少なくて済みます。
捨てられないモノ、思い出の品との向き合い方
和室には、長年大切にしてきたモノや、子供の成長に関わる思い出の品など、感情的な価値が高いモノが多く含まれることがあります。これらを「手放す」と決めるのは、心苦しい作業です。
- すべてを残さなくても大丈夫: すべてを残す必要はありません。特にお子様の作品や手紙は量が多くなりがちです。厳選して一部を残し、他は写真に撮ってデータとして残すという方法もあります。(デジタル化することで、場所を取らずに見返すことができます)
- 思い出ボックスを作る: どうしても手放せない思い出の品は、「思い出ボックス」として一つの箱にまとめ、保管場所を決めます。箱に入るだけ、など量を制限するのも良い方法です。
- 期限を設ける: 「一年間使わなかったら手放す」のように、モノに猶予期間を設けるのも有効です。贈答品など、いつか使うかもと思ってしまうモノに試してみてください。
- 無理に手放さない選択肢: 価値のあるモノは、必要としている人に譲る、フリマアプリなどで売る、寄付するなど、手放す以外の選択肢を検討するのも良いでしょう。
無理なく続けるためのコツ
片付けは一度に終わらせる必要はありません。ご自身のペースで、無理なく続けることが大切です。
- 完璧を目指さない: 最初から完璧な状態を目指すと疲れてしまいます。「今日はこの引き出しだけ」「この棚の上だけ」というように、小さな目標を設定し、達成感を積み重ねましょう。
- 短時間で区切る: 「15分だけやる」「この曲が終わるまで」など、時間を区切って集中して取り組むのも効果的です。短い時間でも毎日続けることで、少しずつモノは減っていきます。
- 休憩を挟む: 体力的に負担を感じたら、すぐに休憩を取りましょう。無理は禁物です。
- 一人で抱え込まない: もし可能であれば、家族に手伝ってもらったり、一緒にモノを見直したりするのも良いでしょう。ただし、価値観の違いから意見が対立することもあるため、無理強いはせず、あくまでご自身のペースで進めることを優先してください。
- 終わったら自分にご褒美: 片付けを終えたら、好きなお茶を飲む、散歩に行くなど、小さなご褒美を用意するとモチベーション維持につながります。
片付け後の和室活用アイデア
和室がすっきり片付いたら、その空間をどのように使いたいか考えてみましょう。片付けのモチベーションにもつながります。
- 趣味の空間: 読書コーナー、手芸や書道などの作業スペースとして活用。
- くつろぎの空間: 座布団やクッションを置いて、のんびり過ごすリラックススペースに。
- 軽い運動スペース: ヨガやストレッチなど、体を動かすスペースに。
- 来客用スペース: 本来の客間として、いつでもお客様を迎えられる空間に。
片付けによって生まれたゆとりの空間は、新たな時間の過ごし方を提案してくれます。
まとめ:再び、和室を心地よい場所に
長年眠っていた和室の片付けは、時間も体力も必要ですが、「好き」と「必要」という基準で見直すことで、モノの要不要判断がしやすくなります。一度にすべてを終わらせようとせず、小さなステップで、ご自身のペースで進めていくことが大切です。
無理なく片付けを進めた先に待っているのは、モノに埋もれていた空間が息を吹き返し、再び心地よく過ごせる場所になる喜びです。この機会に、和室をすっきりさせて、新たな空間活用を楽しんでみませんか。