「好き」?「必要」?リビングのモノ 見分け方:50代からの無理しない片付け術
リビングは家族が集まり、多くの時間を過ごす大切な場所です。しかし、気がつけばモノが増え、「どこから手をつけて良いか分からない」「何を残して何を捨てれば良いか判断に迷う」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、長年住み慣れた家では、思い出の品やいつか使うかもしれないモノがリビングに溜まってしまいがちです。
一度にすべてを片付けようと思うと、体力も気力も使いますし、何より「無理だ」と感じてしまうかもしれません。ですが、ご自身のペースで、少しずつ進めることで、必ずすっきりとした心地よい空間を取り戻すことができます。
この場所別「好き」「必要」ガイドでは、リビングの片付けに焦点を当て、「好き」で残すモノと「必要」で残すモノを区別するという考え方を軸に、無理なく実践できる方法をご紹介します。
なぜ、リビングにモノが溜まるのでしょう?
リビングは家の中でも最も使用頻度が高く、家族みんながそれぞれのモノを持ち込みやすい場所です。
- 一時置き場になりやすい: 郵便物、読みかけの本、脱いだ上着などがつい置かれてしまいます。
- 家族共有のモノが多い: リモコン、ゲーム、充電器、薬箱など、気づくと数が増えています。
- 趣味やリラックスの場: 新聞、雑誌、編み物セット、コレクションなど、生活に関わる様々なモノが集まります。
- 思い出の品: 飾りきれない写真、お子さんの作品、旅行の記念品などが収納に入りきらず、リビングに置かれることがあります。
こうした様々な要因が重なり、意識しないうちにリビングの空間がモノに占領されてしまうのです。
片付けの第一歩:「好き」と「必要」を見分ける考え方
片付けの目的は、単にモノを減らすことではありません。ご自身にとって本当に大切で、心地よい暮らしに欠かせないモノを選び取り、それらを活かせる空間を作ることです。そこで役立つのが、「好き」と「必要」という二つの基準でモノを見分ける考え方です。
- 「好き」なモノ: それを見ると心が和む、元気が出る、大切にしたいと感じるモノ。たとえ実用的でなくても、そこに「感情的な価値」があるモノです。
- 「必要」なモノ: 今現在、または近い将来に使う予定があるモノ。生活に欠かせない機能的な役割を果たすモノです。
この二つの基準でモノを分類することで、「なんとなく」持っているモノや、「もったいないから」という理由だけで手放せないモノと向き合いやすくなります。
リビングで実践!「好き」と「必要」の見分け方
さあ、実際にリビングにあるモノを「好き」と「必要」で見分けてみましょう。一度にすべて行う必要はありません。まずは小さなエリアから始めるのがおすすめです。例えば、テレビ台の引き出し一つ、棚の一段、テーブルの上だけ、などです。
- エリアを決める: 片付ける場所を具体的に決めます。(例: テレビ台の引き出し)
- すべてのモノを取り出す: そのエリアにあるモノをすべて外に出します。何がどれだけあるのか全体を把握するためです。
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一つずつ手に取る: 取り出したモノを一つずつ手に取り、以下の基準で考えます。
- 「好き」ですか?:見るたびに心が弾むか、大切な思い出と結びついているか。
- 「必要」ですか?:直近(例:半年〜1年以内)で使う予定があるか、生活に不可欠か。
- どちらでもないですか?:特に好きでもないが、いつか使うかも、と考えているモノ。
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三つのグループに分ける: 手にしたモノを以下の三つのグループに分けます。
- 【A】好き(残す): 「好き」の基準を満たすモノ。
- 【B】必要(残す): 「必要」の基準を満たすモノ。
- 【C】どちらでもない/不要(手放す候補): どちらの基準も満たさないモノ。
捨てにくいモノ、思い出の品との向き合い方
「好き」でも「必要」でもないけれど、どうしても手放せないモノがあります。特に思い出の品は、そのモノ自体よりも、それにまつわる記憶や感情が大切だからです。
- すぐに手放さなくても良い: 「手放す候補」のモノを、すぐにゴミ袋に入れる必要はありません。「保留ボックス」などを用意し、一時的にまとめておきましょう。一定期間(例えば3ヶ月や半年)置いてみて、一度も箱を開けなかったり、存在を忘れていたりするモノは、手放しても後悔しない可能性が高いです。
- 「モノ」ではなく「記憶」を残す: 写真、手紙、お子さんの作品などは、すべて現物で持つ必要はありません。
- 写真を撮ってデータ化する。
- お気に入りの数点だけを選び、素敵な箱やアルバムにまとめる。
- 手紙はデータ化したり、特に心に響くフレーズだけを書き写したりする。 無理に手放すのではなく、「記憶を大切に残す別の方法はないか」と考えてみてください。
- 感謝の気持ちを持つ: 手放すモノには、「今までありがとう」という感謝の気持ちを伝えると、心が少し軽くなることがあります。
無理なく、ご自身のペースで続けるコツ
片付けは一度やれば終わり、というものではありません。そして、完璧を目指す必要もありません。
- 小さな一歩から始める: 「今日はテーブルの上だけ」「引き出し一つ」「雑誌を5冊見直す」など、すぐに終わる小さな目標を設定しましょう。達成感が得やすく、継続につながります。
- 時間を決める: 「片付けは15分だけ」と時間を区切ります。集中力も保てますし、「疲れたらやめて良い」という安心感が得られます。
- 「〇〇したら休憩」ルールを作る: 「この引き出しが終わったら休憩」「この本棚の一段が終わったらお茶を飲む」など、作業の区切りに休憩を挟むと、モチベーションを維持しやすくなります。
- 頑張った自分を褒める: 小さな目標でも達成できたら、自分で自分を褒めてあげましょう。おやつを食べる、好きな音楽を聴くなど、ご褒美を用意するのも良い方法です。
- 完璧主義を手放す: 少しずつでも前に進んでいれば十分です。すぐに結果が出なくても焦らないでください。
片付けを終えた後の心地よさ:スペースの活用例
片付けが進み、リビングがすっきりとしてくると、心にもゆとりが生まれます。空いたスペースをどのように活用できるか、想像してみてください。
- 読書や趣味のスペース: ゆったりと読書を楽しめる椅子を置く、手芸道具を広げられるテーブルを設けるなど、ご自身の趣味を楽しむための空間を作る。
- リラックスできる場所: 観葉植物を置く、香りの良いアロマを焚くなど、よりリラックスできる癒やしの空間にする。
- 家族とのコミュニケーションスペース: 大きなテーブルを囲んで家族でお茶を飲む、ゲームをするなど、団らんの時間を豊かにする。
- 運動スペース: ヨガマットを広げて軽い運動をする。
モノが減ることで、掃除もしやすくなり、日々の暮らしがより快適になることを実感できるでしょう。
まとめ
リビングの片付けは、長年の暮らしの積み重ねと向き合う時間でもあります。「好き」と「必要」という基準でモノを見直すことは、ご自身の現在の価値観や、これから大切にしたいものを再確認する機会にもなります。
一度にすべてを終わらせようとせず、ご自身の体力や気持ちに合わせて、本当に小さな一歩から始めてみてください。引き出し一つ、棚の一段からでも構いません。片付けが進むにつれて、きっと心まで軽くなるのを感じられるはずです。
すっきりとしたリビングで、ご自身にとって心地よい時間を過ごせるようになることを願っています。