片付けたいのに「やる気が出ない」を解決:「好き」「必要」で見つける最初の一歩
片付けたい気持ちはあるのに、なぜか腰が重い、どこから手をつければ良いか分からない、と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。長年溜め込んだモノを前にすると、途方に暮れてしまい、つい後回しにしてしまうこともあるかと思います。
ここでは、そんな「やる気が出ない」と感じている方のために、「好き」なモノと「必要」なモノを区別するという考え方を活用しながら、無理なく片付けの最初の一歩を踏み出す方法をご紹介します。
片付けたいのに、なぜ「やる気」が出ないのでしょうか
片付けへの一歩が踏み出せない背景には、いくつかの理由が考えられます。
- モノの量の多さに圧倒される: どこから始めても終わりが見えないように感じてしまう。
- 要不要の判断に迷う: 特に思い出の品や「いつか使うかも」と思うモノは、手放す決断が難しい。
- 体力的な不安: 一度に大掛かりな片付けをする自信がない。
- 完璧を目指しすぎる: 「一気に完璧に片付けなければ」と思うと、そのハードルが高すぎて動けなくなる。
- 片付けによるメリットが見えにくい: 片付けた後の状態が具体的にイメージできず、モチベーションが上がらない。
これらのハードルを下げるために、「好き」と「必要」というシンプルな基準と、小さなステップで進める方法を取り入れてみましょう。
「好き」「必要」の考え方を『やる気スイッチ』にする
片付けを始めるための「やる気スイッチ」は、外から与えられるものではなく、ご自身の内側に見つけることができます。「好き」と「必要」という視点は、このスイッチを見つけるための強力な手がかりとなります。
1. 「好き」の力で理想の空間をイメージする
まず、片付けを終えた後のご自宅、特に片付けたいと思っている場所が、どのような空間になったら「好き」かを想像してみてください。
- お気に入りの雑貨だけがすっきりと飾られた棚
- 趣味の道具がすぐに取り出せる使いやすい収納
- 陽の光が気持ちよく差し込む窓辺
- 家族や友人とゆっくり過ごせる広々としたリビング
このように、「好き」な空間を具体的にイメージすることで、「片付けたい」という漠然とした気持ちが、「この空間にしたい」という具体的な目標に変わります。この「好き」な未来のイメージが、片付けを始める原動力になります。
2. 「必要」の視点から片付けの効果を考える
次に、「必要」という視点から、片付けによって得られる具体的なメリットを考えてみましょう。
- 探し物の時間が減り、時間を「必要」なことに使えるようになる
- 掃除がしやすくなり、家事を楽に進めることが「必要」になる
- 安全な動線が確保され、家の中での活動がスムーズになることが「必要」になる
- 必要なモノがすぐに見つかり、二重買いや無駄遣いが減る
これらの「片付けによって満たされる『必要』」を認識することで、片付けという行動の価値を再確認し、重い腰を上げるきっかけにすることができます。
3. 小さな「好き」「必要」から始める
いきなり家全体や一つの部屋を片付けるのは大変です。まずは、身の回りの小さな「好き」や「必要」に焦点を当ててみましょう。
- お気に入りのマグカップだけをしまう棚の一角
- 毎日使うスマートフォン充電器の定位置
- よく読む本数冊を置くスペース
- 鍵や財布などの外出に必要なモノを置く場所
これらの小さな場所から「好き」で飾りたいモノだけを残す、あるいは「必要」なモノだけを置いてみる、というように、ごく一部だけを片付けてみてください。小さな成功体験が、「もっと別の場所も片付けてみようかな」という次のやる気につながります。
無理なく最初の一歩を踏み出す具体的なステップ
「よし、少しだけやってみよう」という気持ちになったら、以下のステップで最初の一歩を踏み出してみてください。
- 場所を決める: 家の中で一番気になっている場所ではなくても構いません。引き出し一段、棚の一角、テーブルの上など、5分〜15分程度で終わりそうな小さな場所を選びましょう。すぐに効果を実感できる場所(例:よく使うキッチンの引き出し、リモコン周りなど)を選ぶと、達成感が得やすいです。
- 時間を決める: 「〇時から15分だけ片付ける」のように、具体的な時間を設定します。タイマーを使うのも効果的です。時間が来たら途中でもやめて構いません。
- モノをすべて出す(できる範囲で): 選んだ場所にあるモノを、床やテーブルの上にすべて出してみます。モノの量を視覚的に把握することが大切です。ただし、出しすぎると圧倒される場合は、一度に扱う量を調整してください。
- 「好き」か「必要」かで分ける: 出したモノを以下のいずれかに分類します。
- 好き: 見るだけで心が和む、大切にしたいモノ。
- 必要: 今の暮らしで実際に使っている、必要なモノ。
- 迷う: 「いつか使うかも」「思い出があるけれど今は使わない」など、判断に迷うモノ。
- 不要: 明らかに使っていない、必要ないモノ。 最初は完璧に判断しようとせず、「好き」か「必要」のどちらかに少しでも当てはまるか、という軽い気持ちで見直してみてください。
- 仕分け後のアクション:
- 「好き」「必要」と判断したモノは、元の場所(あるいは使う場所)に戻します。この時、「好き」なモノは飾りながら戻す、「必要」なモノは使いやすいようにしまう、と意識すると、片付け後の空間がより快適になります。
- 「不要」なモノは、すぐにゴミ袋に入れる、あるいは一時的に箱にまとめておきます。
- 「迷う」モノは、別の箱(「保留ボックス」など)にまとめておき、日付を書いてしばらく置いておきます。一定期間(例:3ヶ月〜半年)経っても使わなければ、手放すことを検討するなど、後から改めて見直す機会を設けましょう。
このプロセスを、選んだ小さな場所だけで行います。たった15分でも、選んだ場所が少しでもすっきりすれば、それは立派な「最初の一歩」です。
片付けの『やる気』を持続させるコツ
最初の一歩を踏み出せたら、そのやる気を維持することも大切です。
- 小さな変化を喜ぶ: 片付けた場所を見て、そのすっきり感を味わってください。写真に撮っておくのも良い方法です。
- 無理な計画は立てない: 「今日はここまで」と、できる範囲で区切りましょう。完璧を目指すと疲れてしまいます。
- 成功体験を積み重ねる: 小さな場所の片付けを繰り返し、達成感を味わうことで、次へのモチベーションにつながります。
- 「ご褒美」を設定する: 例:「この引き出しを片付けたら、好きなお菓子を食べる」など、自分にご褒美を用意するのも効果的です。
- 片付け後の空間を実際に使ってみる: 片付けて広くなったスペースでティータイムを楽しむ、趣味の時間を過ごすなど、変化を体感することで、片付けの効果を実感できます。
片付け後の空間がもたらすメリット
「好き」「必要」で見直しながら少しずつ片付けを進めることで、物理的な空間だけでなく、心にもゆとりが生まれます。モノが減り、整理されることで、探し物のストレスが軽減され、掃除も楽になります。また、お気に入りのモノに囲まれたり、必要なモノがすぐに取り出せる空間は、日々の暮らしの満足度を高めてくれます。
まとめ
片付けの「やる気が出ない」と感じる時は、まず大きな目標から目を離し、「好き」と「必要」というご自身の価値観に立ち返ってみてください。そして、ほんの小さな場所から、たった15分でも良いので、モノと向き合ってみましょう。完璧を目指さず、小さな一歩を積み重ねることが、片付けたいという気持ちを確かな行動に変えるための鍵となります。ご自身のペースで、心地よい暮らしのための片付けを進めていただければ幸いです。