場所別「好き」「必要」ガイド

引き出しに眠る文房具の片付け:「好き」「必要」で見直す無理しない整理術

Tags: 文房具, 片付け, 整理収納, 引き出し, 無理しない

いつか使うかも? 引き出しに眠る文房具と向き合う

自宅の引き出しを開けると、使わないペンや何年も前のハサミ、用途不明のクリップなどがぎっしり詰まっている、ということはありませんか。文房具は比較的小さく、安価なものが多いため、意識しないうちにどんどん増えてしまいがちです。特に、長年同じ場所にお住まいの方は、お子様が使っていたものや、頂き物などがそのままになっていることもあるかと思います。

「いつか使うかも」「もったいないから捨てられない」そう思って、ついつい引き出しの奥にしまい込んでいるモノたち。いざという時に必要なモノが見つからず、結局また同じようなモノを買ってしまった、という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

このような文房具の引き出しの片付けは、「どこから手をつければ良いか分からない」「体力的に一度に全部やるのは難しい」と感じる方も少なくないでしょう。しかし、少しの工夫と「好き」と「必要」というシンプルな考え方を取り入れることで、無理なく、そして確実に、すっきりとした使いやすい文房具スペースを取り戻すことができます。

なぜ文房具は増えやすいのか? 片付けを難しく感じる理由

文房具が溜まりやすい背景には、いくつかの理由が考えられます。

これらの理由から、文房具の引き出しは気づけば「使わないモノ」と「必要なモノ」、「思い出の品」が混在する「混沌」とした空間になりやすいのです。この状態から抜け出すために、「好き」と「必要」という軸でモノを見直す考え方が役立ちます。

「好き」と「必要」で見分ける文房具の基準

片付けの第一歩は、そこにあるモノを「好き」か「必要」かで仕分けることです。文房具の場合、この基準は比較的シンプルに考えられます。

「必要」な文房具とは

今、実際に使っているモノ、またはこれから使う予定がはっきりしているモノです。

「必要」かどうかを判断する際は、「最後にいつ使ったか」と「これからいつ使う予定があるか」を具体的に考えると迷いにくくなります。例えば、「一年以上使っていないけれど、いつか使うかも」というモノは、本当に必要かを立ち止まって考えてみましょう。

「好き」な文房具とは

機能的な必要性だけでなく、持つこと自体に喜びを感じるモノや、特別な思い入れがあるモノです。

「好き」という基準で残すモノは、必ずしも「必要」でなくても構いません。ただし、すべてを「好き」で残してしまうとモノは減りません。限りあるスペースを考え、特に「お気に入りの一点」や「どうしても手放せない特別なモノ」に絞ることが大切です。

引き出し一つから始める具体的な片付け手順

体力に自信がない方や、片付けに慣れていない方でも大丈夫です。まずは「引き出し一つ」や「ペン立ての中だけ」など、小さな範囲に絞って始めてみましょう。

  1. 対象を決める: 今日片付ける引き出しや、特定の場所(例: デスクの上のペン立て、リビングのチェストの一番上の引き出し)を一つ決めます。
  2. 中身をすべて出す(難しい場合はエリア分け): 可能であれば、対象を決めた場所のモノを全て、広い場所に一旦出してみましょう。机の上や床に新聞紙などを敷くと汚れ防止になります。すべて出すことで、何がどれくらいあるか全体像を把握できます。もし、一度に全て出すのが難しいと感じたら、引き出しを縦か横に区切り、今日はこのエリアだけ、というように範囲を狭めても構いません。
  3. ホコリを取り除く: モノがなくなったら、引き出しの中やペン立ての底に溜まったホコリを拭き取ります。これだけでもスッキリした気持ちになれます。
  4. 分類する: 出したモノを種類ごとに大まかに分けます。
    • ペン類(ボールペン、シャーペン、マジックなど)
    • 切るモノ(ハサミ、カッター、シュレッダーバサミなど)
    • 貼る・とじるモノ(のり、テープ、ホッチキス、クリップ、輪ゴムなど)
    • 書く紙類(メモ用紙、付箋、便箋など)
    • 測る・消すモノ(定規、消しゴム、修正液など)
    • その他(鉛筆削り、替芯、替刃、デザインナイフなど)
  5. 「好き」と「必要」で仕分ける: 分類したモノを一つ一つ手に取り、「必要」か「好き」かで判断します。

    • 必要: 今使っているか、使う予定があるか。使える状態か(ペンはインクが出るか、ハサミは切れるかなど)。→ 残すモノのグループへ。
    • 好き: デザインが好き、思い出がある、使うと気分が良い。→ 残すモノのグループへ。(ただし、数を絞る意識を持つ)
    • どちらでもない・不要: 壊れている、インクが出ない、数がありすぎる、何年も使っていない、今後も使う予定がない、特に好きでもない。→ 不要なモノのグループへ。
    • 迷うモノ: 判断に迷うモノは、「保留箱」などと書いた別の箱に一時的に入れておきます。期限(例: 3ヶ月後)を決めて見直し、その時も使わなければ手放す、とルールを決めると良いでしょう。
  6. 手放す準備: 不要と判断したモノは、捨てるモノ、リサイクルできるモノ、譲るモノなどに分けます。ペンやハサミなど、自治体の分別ルールに従って適切に処分します。まだ使えるけれど不要なモノは、知人に譲ったり、フリマアプリなどを活用したりする選択肢もあります。

捨てにくい文房具、どう向き合う?

古い日記帳を綴じていたクリップや、亡くなった方が使っていたペン、子供が小さい頃のお絵描きに使っていたクレヨンの一部など、文房具の中には感情的な価値を持つモノも少なくありません。これらの「思い出の品」を無理に捨てる必要はありません。

「手放す=思い出をなくす」ではありません。大切なのは、モノに縛られず、心の負担にならない形で思い出と付き合っていくことです。

無理なく続けるための小さな習慣

片付けは一度やれば終わり、ではありません。リバウンドを防ぎ、すっきりした状態を維持するためには、日々の小さな習慣が大切です。

片付け後の使いやすい引き出し収納アイデア

文房具の引き出しがすっきりしたら、さらに使いやすく配置しましょう。

使いやすい収納は、片付け後の「必要」なモノと「好き」なモノを、それぞれの用途や使う頻度に合わせて配置することで実現できます。見た目の美しさだけでなく、ご自身の動作に合わせて配置を工夫することが大切です。

片付けで得られる心のゆとり

文房具の引き出し一つを片付けるだけでも、驚くほど気持ちが軽くなることがあります。探す時間が減り、必要なモノがすぐに見つかるようになると、日々のちょっとしたストレスが軽減されます。また、モノと向き合い、自分の「好き」や「必要」を確認していく過程は、自分自身の暮らしや価値観を見つめ直す時間にもなります。

長年溜め込んだモノを整理することは、過去を整理し、今の自分と未来の暮らしに目を向けることにつながります。「好き」なモノと「必要」なモノだけに囲まれた空間は、きっと心地よく、心にゆとりをもたらしてくれるでしょう。小さな一歩から、無理なく始めてみませんか。