引き出し一段から始める「好き」「必要」片付け:座って無理なく進める方法
片付けを始めたいけれど、「どこから手をつけて良いか分からない」「一度にたくさんのモノを整理するのは体力的に難しい」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に長年暮らしていると、いつの間にか引き出しの中もモノでいっぱいになり、開けるたびにため息が出ることもあるかもしれません。
大掛かりな片付けは大変ですが、まずは引き出し一段だけ、しかも座ったままできる範囲で始めてみるのはいかがでしょうか。この方法なら、体への負担も少なく、短時間で区切りをつけられます。そして、引き出し一つが片付くだけでも、小さな達成感を得られ、次のステップへ進むモチベーションになります。
ここでは、引き出し一段を「好き」と「必要」という視点で見直し、すっきりさせるための具体的なステップをご紹介します。
引き出し一段片付けの嬉しいメリット
引き出し一段の片付けは、単に小さなスペースが片付くだ以上のメリットがあります。
- ハードルが低い: 大掛かりな片付けに比べて取り掛かりやすく、「まずはここから」と一歩を踏み出しやすいです。
- 達成感を得やすい: 短時間で目に見える成果が出やすいため、「できた!」という達成感を感じやすく、継続の意欲につながります。
- 体力的な負担が少ない: 座ったまま、あるいはその場でできる範囲で作業するため、立ちっぱなしや重いものを運ぶ必要がなく、体への負担を軽減できます。
- モノの全体像を把握しやすい: 限られた範囲のため、何がどれだけあるのかを把握しやすく、要不要の判断に集中できます。
どの引き出しから始めますか?
家の中には様々な引き出しがありますね。リビングのチェスト、キッチンのカトラリーや小物、洗面台の下、デスクなど。どこから始めても構いませんが、ペルソナの課題を踏まえると、リビングやキッチンなど、普段よく使う場所の引き出しがおすすめです。
特にリビングの引き出しは、様々な種類のモノ(文房具、常備薬、爪切り、リモコン、電池、趣味の小物、DMなど)が混在しやすく、「何が入っているか分からない」状態になりがちです。ここから始めると、多くの種類のモノの判断練習になり、効果を実感しやすいかもしれません。
まずは一つ、直感的に「ここを片付けたいな」と思う引き出しを選んでみましょう。
「好き」と「必要」で見直す引き出し片付けのステップ
引き出し一段の片付けは、次のシンプルなステップで進めます。全て座ったまま、焦らず、ご自身のペースで行いましょう。
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引き出しの中のモノを全て出す(無理のない範囲で) 引き出しが片付いた状態のスペースを確保し、その上に引き出しの中に入っているモノを全て出します。床に座るのが辛ければ、テーブルの上に広げても良いでしょう。量が多すぎて一度に出せない場合は、まずは手前のモノだけ、あるいは数個ずつに分けて出しても構いません。大切なのは「全部出さなければ」と気負いすぎないことです。
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「好き」「必要」「迷う」「捨てる」に分ける 出したモノを一つずつ手に取り、「好き」「必要」「迷う」「捨てる」の4つのグループに分けます。それぞれの基準は以下の通りです。
- 好き: 見ていると気分が上がる、使うのが楽しい、心がときめくモノ。(例:お気に入りの文房具、小さな置物、趣味の道具の一部)
- 必要: 日常的に使う、ないと困る、役割を果たしているモノ。(例:常用している薬、よく使う文房具、リモコン、必要な書類の一部)
- 迷う: 「いつか使うかも」「まだ使えるけれど今は使っていない」「思い出があるけれど場所をとる」といった理由で判断に迷うモノ。
- 捨てる: 明らかに壊れている、古くなっている、今後使う予定が全くないモノ。
この分類が、「好き」と「必要」を意識する片付けの最も重要な部分です。
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「好き」「必要」なモノの基準を考える(引き出しの中のモノ向け) 引き出しの中にあるモノは、比較的小さかったり、日常的に使う消耗品だったりすることが多いかもしれません。ここでは、引き出しの中のモノに特化した「好き」「必要」の判断基準を具体的に考えてみましょう。
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「必要」の基準:
- 使用頻度: 過去1年以内に使ったか? 今後1ヶ月以内に使う予定があるか?(薬、文房具など)
- 代替の可否: それがないと代わりになるものがないか?(特定のリモコン、特定の機能を持つ道具など)
- 保管の義務: 保証書や取扱説明書など、一定期間保管する必要があるか?
- 個数の適正: 同じものが複数ある場合、本当に全て必要か?(ペン、ハサミなど)
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「好き」の基準:
- 感情的な価値: それを見ると嬉しい気持ちになるか? 見るたびに幸せな気持ちになるか?
- 思い出: 特定の出来事や人との繋がりを感じるか?(手紙、写真など)
- 美しさ・デザイン: 形や色が気に入っているか? 持っているだけで満足感があるか?
一つのモノについて、「これは好き?それとも必要?」と問いかけてみてください。どちらにも当てはまらないモノは、「迷う」か「捨てる」の候補になります。
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「捨てる」モノを処分する 「捨てる」と判断したモノは、迷わずゴミ袋へ入れましょう。自治体の分別ルールに従って適切に処分してください。
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「迷う」モノと向き合う これが一番難しいと感じる方が多いかもしれません。「迷う」グループのモノは、すぐに結論を出さなくても大丈夫です。一時保管用の箱(「迷い箱」など)を用意し、そこへ入れておきます。そして、「〇ヶ月後に見直す」という期限を決めておきましょう。期限が来た時に、もう一度「好きか」「必要か」を問い直し、それでも使わなかったり、なくても困らなかったりするようなら、手放すことを検討します。
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「好き」「必要」なモノを収納する 残すことを決めた「好き」と「必要」なモノを、引き出しに戻します。ここでただ戻すのではなく、使いやすく、見て気持ちが良いように工夫しましょう。
- 定位置を決める: 「〇〇はここ」というように、モノ一つひとつの場所を決めます。
- 立てて収納する: ファイルボックスや空き箱などを仕切りとして使い、ペンやハサミなどを立てて収納すると見やすく取り出しやすくなります。
- 小さなケースを活用: 引き出し用の仕切りケースや、お菓子の空き箱などを活用して、小さなモノ(クリップ、ボタン、電池など)をごちゃつかないように整理します。
- 「好き」なモノを見える場所に: お気に入りの文房具や小さな飾りなどは、引き出しを開けた時に目に入る場所に配置すると、気分が上がります。
座ったままでもできる範囲で、ケースに入れたり、並べ替えたりしてみてください。
思い出の品が引き出しにあったら?
引き出しの中に、古い手紙や写真、小さな記念品など、思い出の品が見つかることもあります。これらは「好き」だけれど「必要」ではない、特別なモノたちです。
- すぐに手放す必要はありません: 無理に手放そうとせず、「好き」なモノとして大切に保管する場所を決めましょう。
- 量を限定する: 全てを残すのが難しい場合は、「引き出し一つ分だけ」「この箱に入るだけ」のように、量を決めてみるのも一つの方法です。
- 手放す以外の選択肢: どうしても場所を取りたくないけれど残しておきたい場合は、写真に撮ってデジタル化する、日記やノートに記録として残すといった方法もあります。手紙など一部だけを残す、という選択肢もあります。
- 感謝して手放す: もし手放すことを選ぶなら、「今までありがとう」と感謝の気持ちを持って手放すと、心残りなく次に進みやすくなります。
無理なく続けるためのコツ
引き出し一段が片付いたら、すぐに次の引き出しに取り掛かる必要はありません。
- 達成感を味わう: まずは片付いた引き出しを眺めて、「できた!」という小さな成功体験を噛み締めましょう。
- 次の引き出しを決める: 「次はあの引き出しにしようかな」と、次に片付けたい場所をぼんやり決めておくだけでも、片付けへの意識を保てます。
- スキマ時間を活用: 「CMの間だけ」「電話しながら」など、数分間のスキマ時間にモノを数個だけ出す、分類するといった方法でも十分です。
片付け後の引き出し活用アイデア
引き出しがすっきり片付くと、使いやすくなるだけでなく、新しい活用法も見えてきます。
- 「好き」なモノ専用引き出し: 見るたびに癒される趣味のモノや、お気に入りの雑貨だけを集めた「好き」専用の引き出しに。
- 効率重視の機能的な引き出し: 使う頻度が高いモノだけを厳選し、誰が見ても分かりやすく、サッと取り出せるように工夫する。
- 「ゆとり」スペースの確保: 引き出しの中に何も入れないスペースを作ることで、心にも物理的なゆとりが生まれます。一時的に置いておきたいモノの仮置き場としても使えます。
まとめ
大掛かりな片付けに躊躇している方も、引き出し一段からなら気軽に始められます。座ってできるため、体力的な負担も少なく、ご自身のペースで無理なく進められます。「好き」か「必要」かというシンプルな基準でモノを見直すことで、引き出しの中が整理されるだけでなく、ご自身のモノとの向き合い方についても気づきがあるはずです。
小さな一歩から、心地よい空間づくりを始めてみませんか。片付いた引き出しを開けるたびに、きっと清々しい気持ちになれるでしょう。